ピロリ菌外来

ピロリ菌抗体値の新基準 2017年4月1日から、ABCの基準値が変更になりました。ピロリ菌の基準値が変わりました。今まで、ピロリ菌抗体の正常値は10U/ml未満でしたが、3mU/ml未満になりました。 ピロリ菌の新基準 胃がんリスク層別化検査運用研究会の検討で、ピロリ菌抗体陰性高値1,132例のうち、105例(9.3%)で、ピロリ菌保有者が多く含まれていたからです。 ピロリ菌抗体陰性高値

つまり、ピロリ菌がいなかったと判定された人のなかに、ピロリ菌を持っている人がいるのです。
血液検査で行ったピロリ菌抗体3~9U/mlの人は、過去に持っていただけなのか、今もピロリ菌がいるのかを、尿素呼気試験等で再検査して、現在の感染を確認してください。
『いなかった』とだけ、聞いている人は、再検査が必要です。
お手元に、検査結果をお持ちの方は、数値を確認してください。わからない方は、お持ちいただければ、ご説明いたします。

除菌後の勘違いに注意してください。

除菌後の人で、勘違いしている人がいます。2通りの勘違いがあります。

1つは、ピロリ菌がいなくなったのだから、もう胃癌にはならなくなった。だから、もう胃カメラの検査は受けなくても良いと思う人。

もう1つは、除菌後でも、また、ピロリ菌の検査を受ける人。

ピロリ菌は子供のころに感染して胃の粘膜を荒らし、萎縮性胃炎(慢性胃炎)にしてしまいます。この萎縮した胃の粘膜はすぐには回復しません。胃の粘膜の萎縮の進行は止まり、ゆっくり回復に向かいますが、癌のリスクはすぐにはゼロになりません。胃癌のほとんどは、ピロリ菌を持っている人か除菌後の人にできます。もともとピロリ菌がいない人とは違うのです。除菌後の人も年に1回は胃カメラを受けてください。バリウムでやりたいという人がいますが、胃カメラのほうがずっと早期胃癌を発見しやすいので、ぜひ、胃カメラの検査を受けてください。

ピロリ菌は、大人には感染しませんから、1回検査をして、いなかった人、除菌に成功した人は、また、検査をし直す必要はありません。ただ、除菌後の人は血液検査で抗体価を検査すると、「抗体価」は「過去にかかったことがある」ということですから、ひっかかってしまう人がいます。はしかや風疹で抗体価を調べるのと同じ理屈です。

ピロリ菌て何?

ピロリ菌ピロリ菌(H.pylori)とは胃の粘液の中に棲んでいるらせん状の細菌です。一方の端に「べん毛」と呼ばれる細長い「しっぽ」(べん毛)が4~8本ついていて、ヘリコプターのプロペラのようにくるくるまわしながら活発に動きまわります(図1)。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、悪性リンパ腫などの胃の病気になります。
胃では食物を消化するために強い酸(胃酸)が作られています。以前は、この胃酸の中に細菌はいないと思われていましたが、このピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、強い胃酸の中で生きることができるのです。
ピロリ菌が感染すると炎症が起こり、慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)となります。この胃炎が胃潰瘍、十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎を引き起こし、がんやリンパ腫を発生させるのです。

慌てないでください、ピロリ菌に感染しているからといって、みんなが潰瘍になったり、がんなどの病気になったりするわけではありません。

なぜ、ピロリ菌に感染するの?

ピロリ菌の感染経路はまだはっきり解明されていませんが、飲み水や食べ物と一緒に口から入って感染すると考えられています。ほとんどが5歳以下の幼児期に感染すると言われています。それは、5歳以下の子供は胃酸の力が弱く、ピロリ菌が生きのびやすいためです。
世界的には東南アジアや南米など衛生状況が良くない地域ではピロリ菌陽性率が高く、日本でも中高年に高率なのは、戦後の不衛生な環境が原因ではないかと考えられています。現在でも、60歳以上の人では80%以上の人がピロリ菌に感染しているといわれます(図2)。

年齢別ピロリ菌感染率

上下水道が整備され衛生環境が整った現在の日本では、このような経路の感染はまずないと思われますが、乳幼児期に親からの口移しでの食事を介した感染が新たな経路として考えられています。
キスやコップの回し飲みなどの日常生活ではピロリ菌は感染しないと考えられていますから、ご安心ください。
一度感染すると多くの場合、除菌しない限り胃の中に棲みつづけます。ピロリ菌がいても、症状がない人がほとんどです。

ピロリ菌に感染したらどうなるの?

ピロリ菌に感染した人のごく一部が、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、慢性胃炎になり、胃がん、悪性リンパ腫などになるといわれています。
最近は、健康診断ピロリ菌の抗体検査を行っている場合があり、ピロリ菌抗体が陽性だと大変心配する方がいます。ピロリ菌に感染することイコールがんになることではなく、日本人は非常に沢山の人が感染していて、その一部が、がんに移行するのです。心配しすぎることはありません。図2で示したように60歳以上では80%の人がピロリ菌に感染していますが、皆さんお元気ですよね。

ピロリ菌に感染するとなぜ病気になるの?

胃の中は胃酸のため強い酸性になっていて、普通の細菌は生きていけませんが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素をだして、胃の中の尿素を分解してアンモニア(アルカリ性)のバリアを作り、胃酸から身を守っています。
このアンモニアなどによって直接胃の粘膜が傷つけられたり、ピロリ菌から胃を守ろうとする免疫反応により胃の粘膜に炎症が起こります。こうしてピロリ菌に感染している状態が長くつづくことで、さまざまな病気を引き起こすのです。

胃・十二指腸潰瘍

ピロリ菌感染率胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者さんの約90%がピロリ菌に感染しています。

ピロリ菌がいる人の再発率ピロリ菌は胃の粘膜を傷つけて胃・十二指腸潰瘍を起こりやすくしたり、繰り返し再発を起こしやすくしているのです。

※胃・十二指腸潰瘍の原因はピロリ菌だけではありません。

  • 腰痛などで処方される痛み止め
  • 脳梗塞や狭心症・心筋梗塞、不整脈の治療薬として処方されるアスピリン
  • ストレス、飲酒、タバコなど

も原因となります。

慢性胃炎と胃がん

10年間で胃がんの発生した人の割合ピロリ菌により、胃の粘膜が痛んだ状態が続くと、胃の粘膜は萎縮し、萎縮性胃炎という状態になります。この慢性胃炎をヘリコバクター・ピロリ感染胃炎と呼び、胃がんの原因となるといわれています。ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎では10年間で2.9%の人が胃がんになったという報告があります(図5)。

早期胃がん治療後、新しい胃がんの発生した人の割合また、胃がんになった人が、ピロリ菌を除菌すると、新しい胃がんが発生する確率を減らすことができる可能性があります。早期胃がんの治療後にピロリ菌を除菌した患者さんは、除菌をしなかった患者さんと比べ、3年以内に新しい胃がんが発生した人が約3分の1だったと報告されています(図6)。

ピロリ菌はどうやって調べるの?

ピロリ菌を持っているかどうか調べる方法はいくつかあります。

迅速ウレアーゼ検査

胃カメラにより、胃の粘膜を採取してピロリ菌の産生するアンモニアを調べる方法

抗体検査

血液を取ってピロリ菌の抗体を調べます。

  • 除菌後も数年は陽性が続くので、除菌後の検査には向きません。

便中抗原検査

便の中にピロリ菌が排泄されているか調べます。

尿素呼気検査(図7)

1錠薬を飲んだ後、専用のバッグに息を吹き込んで、息の中のピロリ菌に分解されたガスの成分を調べます。30分くらいかかります。除菌後の検査に使います。

ピロリ菌は退治できるの?

そんなに心配しないでください!!

ほとんどのピロリ菌感染者は、症状もなく、健康に暮らしています!!

ですから、ピロリ菌保有者はみんな除菌しなければならないというわけではありません。除菌療法の対象となる人は、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃がんに対する内視鏡的治療後の患者さんで、ピロリ菌に感染している人です。

退治は、「除菌療法」と言われます。

除菌療法の成功率は90%1種類の胃酸を押さえる薬と2種類の抗生物質を1週間内服するだけです。主な副作用は一般的な薬のアレルギー反応、下痢や味覚異常などです。

2015年2月に発売されたタケキャブにより、成功率はグンと向上して、1回目で成功する可能性は90%です。これで、除菌できなかった場合は1種類抗生物質を変えて、また1週間、内服します。

ピロリ菌の検査を受けるにはどうするの?

健康診断、人間ドックを受けたり、医療機関を受診してください。
繰り返しますが、大事なことは、ピロリ菌を持っている人は沢山いますが、病気と関連している人はその一部なのです。

医療機関受診から除菌療法までの流れ

まずは、原クリニックを受診してください。
診察の上、まず、除菌療法の対象となる病気があるか調べます。通常は胃カメラを行います。胃カメラと言うと「エーッ!!」と思う方が多いと思います。でも、心配しないでください。原クリニックの胃カメラは経鼻内視鏡という鼻から入れる直径5.9mmの細い胃カメラです。楽に出来るので安心してください。それでも、ご心配な方は、細い針で麻酔の注射を受けて検査を受けることも出来ます。胃カメラで採取した胃の組織を用いて、迅速ウレアーゼ試験でピロリ菌がいるか診断します。
健康保険による除菌療法を受けられるのは、胃カメラを受けた人だけです。

医療機関受診
胃カメラによる慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんの診断
ピロリ菌感染の診断
除菌療法

除菌療法が成功したかは尿素呼気試験で調べます。ですから、胃カメラは1回受けるだけです。

ピロリ菌が陰性なのに、胃がんのリスク最大の人がいます!!

ピロリ菌の検査で陰性の人の中に「ピロリ菌が住めなくなったほど」の慢性胃炎の人がいます。胃がんのリスク健診のABC検診の分類のD群にあたる人です。80人に1人の割合で胃がんになると言われています。

ピロリ菌検査が陰性だと言って、安心せず、胃カメラをお勧めします。

除菌後も年1回の定期健診を受けてください!!

除菌療法が成功したら、「もう、胃がんにならないんだ」と思う人がいます。

除菌をしても、胃がんになる危険は残ります。除菌をしても、胃がんになる危険は残ります。

ピロリ菌がいた慢性胃炎から、早期胃がんが発生し、内視鏡的切除を受けた人の中で、除菌治療をした人のほうが、除菌しなかった人に比べて、新たに早期胃がんが発生した人の割合は、1/3に減少していました。
ピロリ菌を除菌しても、萎縮した胃粘膜細胞はすぐには回復しません。ですから、除菌が成功しても、

定期的な健診が必要です。

胃カメラによる定期的な検査を行うと、粘膜に発生した早期の胃がんを発見することができ、内視鏡により、胃がんの切除が可能です。

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